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院長のコラム


  不安障害 〜様々な病態、解明進む〜 Date: 2004-02-17 (Tue) 
 私たちは普段の生活のなかで、実に様々な不安な感情にとらわれることが少なくありません。家のローンや借金の返済などの経済的な不安。嫌な上司に叱責されるのではとか、子供が反抗的で悩んでいるなどの職場や家庭での人間関係の悩み。癌や糖尿病などの病気の心配や年金がもらえなくなるなどの老後の不安など、数え上げたらきりがありません。

 しかし、多くの場合、このような不安を体験しても、それを克服し、なんとか適応し、社会や家庭での自分の活動の場を広げ、それぞれの人生を作り上げていくものと考えられます。

 本来、不安とは、はるか昔に生物が知的能力を獲得したときから、これから起こる危機をすばやく察知し、その危険に対して、対抗するための生態に備わった重要な機能(防衛反応)と考えられているのです。
 
 人々がそれぞれ元気に生活している場合には、このような不安には耐えられるものであり、日常の生活の中で気にならなくなるものですが、病的な不安はその程度が激しく、克服することが困難になってきます。日常の範囲から多少外れた程度のものから、すぐにも何らかの助けを必要とする苦痛に満ちたものなど、実に様々な不安障害が知られいます。

 不安障害の多くは、今から百年以上も前に精神分析や夢の分析で有名なオーストラリアの精神科医フロイトが症例研究で明らかにした、恐怖症、不安神経症、強迫精神症なそ、かつて、神経症(ノイローゼ)といった病態にほぼ一致します。現在では米国精神学会による「精神疾患の診断と統計のマニュアル」で、精神病という言葉は全く使われなくなりました。今では日本を含む世界の多くの精神医学にかかわる人々は、ほとんどこの米国製の精神医学に右倣いをしているのです。
 
 精神医学の世界でもグローバル標準化が行き届いたというわけですが、科学の世界では優れた研究を取り入れてゆき、自分たちのものとして活用することは当然とも考えられます。それによると、不安障害には恐怖症、社会不安症、強迫性障害、パニック障害、全般性不安障害、外傷性ストレス障害などが分類されいます。

 強迫症には不安発作がおきた時のことを心配し、逃げることが困難な場所や、助けが得られないような場所にいることを恐れる広場恐怖、人前で恥ずかしい思いをすることを恐れ、そのような状況に不安や苦しみを感じ、避ける社会恐怖などがあります。

 強迫性障害は自分の意思に反して、無意味で、現実に関係のない考えが繰り返し頭に浮かび、その考えを払いのけようとしても、払いのけることの出来ない強迫観念が認められます。また、手を洗わずにいられない、鍵や火元を確認せずにはいられない、ばかげているとわかっていてもそれをしないと不安でたまらないといった強迫行為で悩むこともあります。

 パニック障害は、突然、何の理由もなく不意に不安発作がおこります。突然出現する自律神経系の風いえる発作で、激しい不安感にともなわれて、動悸、発汗、身震い、息切れ、胸部の不快感、めまい感などが出現し、気が狂うのではとか、死んでしまうのではと恐れたりします。

 このような疾患がその病態が不明のままであった時代には、治療は困難を極めていました。しかし、現代では、その病因をまだ明らかにできないものの、病体のついての解明が進み、症状を和らげる方法が次々と試みられています。

 したがって、このような症状をただ恐れていることはありません。専門的な医療機関(精神科、神経科、メンタルクリニックなど)の門をたたき適切なアドバイスを受け、理にかなった治療(薬物療法、行動療法、精神療法など)をできるだけ早く受けることをお勧めします。

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